デッドエンド

糖質制限が明けてからというもの、ほとんどビールを飲まなくなった。

多分週に一度も飲まないと思う。

フジロックとか、そういうイベントで飲むくらいだ。

では何を飲むかというと、レモンサワー(焼酎)もしくはハイボール

もともとそこまでお酒に対してこだわりが強い方ではないので、

それはそれで構わないといったところだ。

 

この2つの飲み物は炭酸で割る。

よって、十分に水分を採れる。

二日酔いもほぼなく、ぐっすり眠れる。

 

しかしデメリットもある。

トイレが近くなるのだ。

仕方のないことではあるが、やはり億劫だ。

 

あの夜もいい感じにハイボールを飲んだ。

ウトウトしていたのだけど、「よっこらしょ」とトイレに向かった。

すっきりして眠りにつきたい。

 

トイレの正面にはサニタリー用品を入れて置く戸棚がある。

観音開きの棚で、奥行きもまあまあだ。十分な収納と言えるだろう。

 

半分眠っている頭でいよいよズボンを下ろして、用を足そうとしたその時だ。

 

戸棚の左下部の隙間で何かが動いている。

僕を挑発するように触覚が動いている。

 

「まずいな、、、どう動くべきか、、、」

 

考えたあげく、奴のいない側の扉をそっと開けた。

そこに武器があるからだ。

 

何かを察知したように触覚が早く動く。

僕は冷静に武器を探した。誰にも気づかれないように。

武器が入っている箱は2つある。

1つ目を探ったが、、、無い。

もう一つの箱か。

 

もう一つの箱をそっと手に取る。中にはあるスプレーが。

口の部分にアタッチメントを静かに取り付ける。

勝負は一瞬。逃げられてもダメだ。一瞬でどれだけの量を浴びせることができるのか。

照準を合わせる。

 

「俺は勝つ。絶対に勝つ。」

 

小さく、しかし力強く口に出しながら吹き付けた。

 

よし、致命傷を負わせる事ができた。

しかしトイレの外に逃げた。

 

ズボンを下ろしたままドアを開けた。そこには奴の息も絶え絶えな姿があった。

 

「じゃあな」

 

トドメを吹き付け、動作確認した上で奴を葬った。

 

改めて考えてみると、ズボンを下ろしたまま戦っていた僕はなかなか滑稽な姿だ。

しかし勝ったのは僕だ。僕なんだ。

 

順調に用を足し、何事もなかったようにトイレを出た。

しかし、完全に酔いが覚めてしまった。

仕方なくもう一杯。最近飲んだどんな酒よりも美味かった。

そう、勝利の美酒に酔いしれながら、その日は眠りについた。

 

行き止まりさえもひっくるめ

これこそ愛すべき我が道

 

皆さんも、良い夢を。